「立ち上がる幾何学:都市の骨格を撮る」
大阪という大都市の風景を象徴する、高層ビルを見上げて撮影したものです。
画面の中心から天に向かって鋭く伸びる直線的なライン、そして暗い空との間に生まれる強烈なコントラストが、この建築物が持つ圧倒的な存在感と無機質な美しさを際立たせています。規則的に並ぶ窓枠や外壁の装飾が作り出すパターンは、まるでコンピューターが描いたかのような完璧な幾何学模様です。
私が建築物を撮る理由の一つは、まさにこの写真に凝縮されています。私の住む場所、あるいは「田舎」と呼ばれる場所にはない、この異質なまでの迫力とスケールに心惹かれるからです。
都市の建築物は、単なる箱ではありません。それは、高度な技術と経済力が生み出した**「人工の山脈」であり、人々の欲望や夢、そして資本が具現化した「文明の記念碑」**です。設計者の論理、構造計算の美しさ、そして何万人もの人々がここで働き、生活しているという物語が、この硬質なラインの中にすべて含まれています。
特にモノクロームにすることで、色彩という余計な情報が削ぎ落とされ、ビルが持つ本来の**「骨格」と「機能美」**がむき出しになります。僕は、その力強い構造体の中に、人間の知性とエネルギーを感じ取りたいからこそ、それをファインダー越しに捉え、「撮る」という行為を繰り返すのです。都市の建築物は、何度撮っても飽きることがない、尽きることのない被写体です。
【撮影】
カメラ:FUJIFILM GFX50S II
設定:ISO100 1/640秒
レンズ:不明
「機能美を極めた鉄骨の箱」
都会の空を背景に、あるオフィスビルを真下から見上げて捉えた一枚です。
思わず「ビルらしいビルだ!」と唸ってしまいました。この建物には、余計な装飾や奇抜な曲線は一切ありません。ひたすらに四角く、四角い窓が規則正しく並び、その角は空に向かって鋭く伸びています。
モノクロームにすることで、建物を構成する**「線」と「面」の美しさが際立っています。窓一つひとつの格子が作り出す壮大なパターンは、計算し尽くされた機能的な美**を雄弁に物語っています。建物を覆う光と影のグラデーションが、この巨大な構造体に深い奥行きと存在感を与えています。
僕が建築物を撮影する理由の一つは、まさにこの純粋な造形美にあります。このビルは、都市が求める機能(多くの人々を収容し、効率的な空間を提供すること)を極限まで突き詰めた結果、到達した**「究極の箱」**の形だと感じます。
モダン建築が持つ、この無駄を削ぎ落としたクリアさと力強い秩序は、見る者に感動を与えます。このビルの前に立つと、都会の論理と、それを実現した技術の高さに、改めて圧倒されるのです。
【撮影】
カメラ:FUJIFILM GFX50S II
設定:F8 ISO100 1/200秒
レンズ:不明
