「線香花火」「椅子」

「線香花火」
大阪・淀川の河川敷で、写真サークルの仲間たちと花火を楽しみながら撮影した。その中で、特に線香花火に目を奪われた。小さな火花が一瞬の光を放ちながら、静かに燃え上がる姿は、想像以上に儚いものだと感じた。
最初は勢いよく火花を散らし、まばゆい瞬間を見せるが、次第にパチパチと弾ける音を立てながら小さくなり、やがて最後にはぽとりと落ちてしまう。

その一連の流れを見つめていると、目の前の時間や出来事も、いずれは消え去ってしまうのではないかという考えが心をよぎる。
火の揺らめきとともに、短いながらも確かな存在感を放つ線香花火は、まるで人生の一瞬一瞬の輝きを象徴しているかのようで、自然と静かな感慨に包まれた。
【撮影】
カメラ:FUJIFILM GFX50S II
設定:ISO-8000  1/125秒
レンズ:不明

「椅子」
街の中を歩いていると、ふと視界の片隅に椅子が置かれているのが目に入った。特に装飾もなく、控えめで少し古びた革製の椅子だ。地味なスナックの店先に置かれていそうな、落ち着いた色合いと使い込まれた質感を持っている。

昼間の柔らかな陽射しに照らされ、革の表面はわずかに光を反射していた。店主が外に干しているのかもしれないと考えながら眺めると、普段なら気にも留めない何気ない椅子が、昼の光の中で静かに存在感を放っていることに気づく。

人々の足音が通り過ぎる日常の中で、その椅子だけが時をゆっくり刻んでいるようで、街の片隅にひそむ小さな物語をそっと教えてくれるかのようだった。
【撮影】
カメラ:FUJIFILM GFX50S II
設定:データなし
レンズ:データなし

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