「足元に集中しよう」「おじさんの背中」

「足元に集中しよう」
公園の片隅で、子供向け遊具である**平均台(シーソーの支点部分を横にしたもの)**のような一本の細い鉄骨の上を、人々が歩いている瞬間を、極端に低いアングルから捉えています。

画面の中心を斜めに横切る鉄骨は、平らな地面に置かれながらも、あたかも**「一本橋」であるかのように、歩く人々に微妙な緊張感を与えているのがわかります。手前と奥には、それぞれ黒いパンツとスニーカーを履いた人物の足元が写り、彼らがこの細い線上をバランスを取りながら進んでいる**様子が伝わってきます。

遊具は、本来は子供たちのためのものですが、ここでは大人の足元が主役です。彼らは、遊び心からこの上を歩いているのか、あるいは、日常の中で知らず知らずのうちに失われた**「均衡感覚」**を無意識に求めているのかもしれません。

モノクロームの強いコントラストは、足元の芝生と土のざらりとした質感、そして鉄骨の硬い金属の質感を強調しています。特に、足と鉄骨が接する部分、そして鉄骨が地面に落とす濃い影は、この動作の集中力と、物理的な重力をドラマティックに表現しています。 
【撮影】
カメラ:FUJIFILM GFX50S II
設定:F5.6 ISO250 1/1000秒
レンズ:GF35-70mmF4.5-5.6 WR

「おじさんの背中」
夏の強い日差しが差し込む、どこかの裏路地で撮影されました。

手前に立つ一人の男性の背中が、この写真の主役です。白いTシャツと、肩から斜めにかかるバッグ、そして腰に手を当てたポーズは、まるでこの喧騒から一歩離れて**「休憩」や「観察」**の瞬間を切り取ったかのようです。彼は、目の前のまばゆい光の中に何を見ているのでしょうか。その視線の先にあるのは、ただの日常の風景か、それとも自身の内面への問いかけかもしれません。

彼の周囲には、自転車のハンドルや車輪の一部が写り込んでいるものの、彼の姿勢は、彼が都市の**「流れの外側」**に立ち止まっていることを強調しています。

路地の奥からは、強い光が逆光として差し込み、道の真ん中を歩く二人の人物の姿を、ぼんやりとした光のシルエットに変えています。彼らは会話をしているのか、あるいは目的地へ急いでいるのか。手前の男性が静かに立ち止まっている間も、都市の時間は、彼らと共に奥へと流れ続けています。この**「静止」と「流動」の劇的な対比**が、写真に深い物語性を与えています。

モノクロームの階調は、光と影のコントラストを際立たせ、Tシャツの白さと背景の光、そして手前の人物が落とす濃い影を鮮烈に描き出しています。この光と影の境目こそが、彼の心の中にある**「内省の光」と、都市の「現実の影」**を表しているようにも感じられます。

彼は、この路地裏という一瞬の空間で、ただ立ち止まり、流れていく世界を眺めている。この匿名的なシルエットには、都会生活の孤独や、一瞬の休息の美しさが凝縮されています。私たちも、彼のように立ち止まり、自分のいる場所と、流れる世界との関係を見つめ直す時間が必要なのではないでしょうか。
【撮影】
カメラ:FUJIFILM GFX50S II
設定:ISO200 1/800秒
レンズ:不明

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