「大阪ビル群」
現代の**「コンクリートジャングル」**の中で、世界がどのように動き出し、そして私たちが何を見つめるべきかを静かに問いかけています。
一枚目の都会のビル群は、天を衝くような巨大な構造物と、その下を縫うように走る車を捉えています。これは、資本と技術が作り上げた巨大な装置そのものです。朝の光や雲の動きが、この無機質な風景にわずかな命を吹き込み、この場所が絶え間なく経済活動のエネルギーを生み出していることを示唆しています。
そして二枚目。駅のホームもまた、都市という装置の血管です。たくさんの人々が目的を持って歩き、流れ、待っています。中央の女性の後ろ姿からは、彼女がこの巨大な流れの中で、自分の目的地へと向かう個人の意志を感じ取ることができます。
私たちは、この巨大なビルや、複雑な鉄道網といった「箱」や「手段」の中で生きています。しかし、本当に大切なのは、その「箱」の中身であり、「手段」の先に存在する**「価値そのもの」**です。
それは、ビルの中での創造的な仕事かもしれません。列車に乗って会いにいく大切な人かもしれません。あるいは、この都市の喧騒の中で見つけた、一瞬の静寂や、目的を持って生きる自分の姿かもしれません。この場所にある、物理的なもの、時間、そして人々の思い。そのすべてが織りなす「価値」に気づき、それを自分の手で掴むことが、このジャングルで生きる僕たちの最大の目的なのだと、改めて悟るのです。
【撮影】
カメラ:FUJIFILM GFX50S II
設定:ISO200 1/320秒
レンズ:GF35-70mmF4.5-5.6 WR
「たくさんの窓。」
ある歴史的な洋風建築を真正面から見上げて捉えたものです。
規則正しく並ぶ無数の窓が印象的ですが、目を引くのはその造りの重厚さ。下層はゴツゴツとした石造り、上層は味わい深いレンガ造りで、素材の違いがこの建物の格式と歴史を物語っています。特に、一階部分のアーチ状の窓と、その上のバルコニーの欄干が作り出す幾何学的なパターンは、見る者に安定感と秩序の美しさを感じさせます。
この窓一つひとつは、単なる光を取り込む開口部ではありません。何十年、あるいは何百年という時の中で、この建物の中で働いた人々、交わされた無数の会話、そして移り変わる街の景色を映し続けてきた**「時代の目撃者」です。ブラインドが下ろされ、暗く沈んだ窓の奥には、今も静かに「時」**が閉じ込められているような感覚を覚えます。
モノクロームにすることで、色彩という情報が削ぎ落とされ、建物を構成する**「石の質感」「光と影のコントラスト」、そして「設計の意図」**が純粋に浮かび上がります。
都会の喧騒の中にありながら、この建物だけはまるで時間が止まったかのように、堂々とした風格を保ち続けています。過去の職人たちの技術と、建物に込められた確固たる思想。これらを写真として記録し、その**「変わらない価値」**を後世に伝えることこそが、建築写真を撮る醍醐味の一つだと改めて感じさせてくれる一枚です。
【撮影】
カメラ:FUJIFILM GFX50S II
設定:ISO320 1/200秒
レンズ:不明
